アユミズム受講者専用の「書き直しトレーニング」10月分の講評です。
こんにちは。長谷川亜由美です。
10月のテーマ「読み手ファースト変換」は、相当難しかったようですね。
いままでがカンタンだったから、油断しましたか？笑
この読み手ファースト変換は、アユミズムの根幹ともいえるテーマですので、今後も繰り返し出題していく予定です。
1度目でできなくても、繰り返していくうちにコツがつかめると思います。
悪文が悪文である理由
うちは国産野菜を使っています。いいものを仕入れているので味には自信があります。
私はカットが得意です。長年の経験があるので安心して任せてもらえます。
今回の課題は、両方とも「書き手目線」であり、私が、私が、という押し付けの強いところが悪文の理由です。
自分の強みを言うだけではなく、自分の強みが、相手の悩みを解決するためにどう役に立つか？どんなメリットがあるか？を伝えなければいけません。
強みアピールだけでは、読み手に「で？ だから？」と思わせる余地が残ってしまっています。
もちろん、自己主張がいけないと言ってるわけではなく、必要な場面もありますが
「読み手ファースト」という前提で考えるときには
主語を「自分が」ではなく
「あなたが」に変えていくことが大切です。
- 悪文の共通点：自分の得意・都合・希望を主語にしている
- 良文の共通点：お客様の悩み・体験・メリットを主語にしている
参考例
私が忙しい。だから予約してください（押し付け）
悪文：最近忙しくて席が足りないので、できるだけ予約してから来てください。
あなたをお待たせしないために、予約をおすすめする（相手のメリットを提示）
良文：土日は特に混み合いやすくなっています。せっかくお越しいただいたのにお待たせしないために、事前のご予約をおすすめしています。
「伝えたいこと」と「読み手が知りたいこと」は、違う
多くの方が、表現を丁寧にしたり、具体的な説明を足したりと工夫されていました。
けれど、読み手にとって知りたいことは、必ずしも書き手が伝えたいことと一致するとは限りません。
「国産野菜を使っています」と言われても、読み手はこう考えます。
「だから、どう安心なの？」
「カットが得意です」と言われても、心の中ではこう思っています。
「それで、私の髪はどうなるの？」
つまり、「努力」や「こだわり」だけでは、相手の理解も納得も動かないのです。
自分のこだわりを、相手の利点に変換することで、共感してもらえるようになります。
たとえばこんな感じです。
「冷凍野菜、便利だけどどんな素材が使われているか不安ではありませんか？そんな不安を抱かずに楽しんでいただける、朝どれの国産野菜の朝食セットをご用意しました」
安心は、情報ではなく、イメージで伝わります。
説明ではなく、情緒的納得。
書き手の「伝えたいこと」を、読み手が「感じ取れる言葉」に変換できたとき、読み手の行動につながります。
読み手ファーストにする際のチェックポイント
読み手ファーストとは、
「自分が伝えたいことを我慢して、相手に合わせる」ことではありません。
「自分の思いを、相手に届く形に翻訳する」ことです。
思いがある文章ほど、読み手の知りたい形に変えると、いっそう強く伝わります。
1. 主語が「書き手」から「読み手」に変わっているか？
- 悪文：私が～する／私は～が得意／お店の都合で～
- 良文：お客様が～できる／あなたにとって～が便利／安心
2. 読み手にとっての「メリット・変化」が具体的か？
- 悪文：すごいです！／自信作です！
- 良文：〇〇が解消されます／△△がラクになります
3. 押しつけや上から目線になっていないか？
- 悪文：使ってください／ぜひ来てください／絶対満足できます
- 良文：～のときにおすすめです／～の方に喜ばれています／～のように感じる方が多いです
4. 書き手の都合が前面に出ていないか？
- 悪文：最近忙しいので…／混んでいるから…／都合により…
- 良文：待ち時間をなくすために…／希望日に予約しやすくするために…
5. 読み手の体験をイメージできるか？
- 「どんなときに」「どんな人が」「どう感じられるか」が伝わっているか？
- 説明ではなく、体感で伝える
提出順に紹介 野菜
では、ここからは、提出順に紹介していきます。
先にお伝えしますが、カンペキに読み手ファースト変換ができている方は、残念ながらいらっしゃいません。
ベスト・プラクティス賞は、ナシです。
でも！大丈夫！ 提出しなければ、成長はありませんから、ここをスタートとしてくださいね。
先に紹介した「読み手ファーストにする際のチェックポイント」と、見比べながら読んでみてください。
Aさん
当店のメニューに使われている野菜は国内で作られたものだけを使っています。海外の野菜に比べて新鮮です。野菜が好きな方はもちろん、苦手な方にも楽しんで食べていただけると思います。しゃきしゃきの野菜料理をどうぞお召し上がりください。
Bさん
当レストランでは国産野菜を使用しております。全国から選りすぐりの良品のみを仕入れております。全てのお客様に喜んでいただけるよう、心を込めて調理しております。
Cさん
当店では北海道の美瑛で採れたお野菜を使っています。
無農薬・無肥料で育てた身体に優しく、野菜本来の味を楽しむことができます。
Dさん
お客様にご満足いただけるよう、厳選した国産野菜を使っています。
Eさん
味に自信あり！当店は国産野菜を使い、ご提供しています。
Fさん
当店では、安心安全な厳選された国産野菜を、農家さんから直接仕入れております。
素材の味を活かした料理は、お客様に大変ご好評いただいております。
Gさん
料理に使われている野菜はすべて国産品のみを厳選しております。
産地から届いたばかりの新鮮な野菜本来の美味しさを心ゆくまでご堪能ください。
Hさん
安心安全でおいしいものを食べていただきたく、国産野菜を使用しています。良質なものを仕入れていますのでぜひお試しください。
Iさん
お客様に、新鮮な野菜で作った料理を食べていただきたいんです。
身体は食べるものでできているので、新鮮だと身体に活力も湧いてきます。
だから国産の野菜にこだわっています。
食材の味を生かすように、精一杯、料理させていただいてます。
Jさん
美味しい野菜を味わってもらいたくて、国産の野菜を厳選して仕入れています。ぜひ、当店の野菜料理を食べにいらしてください。
Kさん
国産野菜にこだわったメニューを揃えています。
おすすめメニューの〇〇は、よくお客様から「美味しい」と声をかけていただきます。
提出順に紹介 カット
Aさん
カット歴は15年。これまで述べ10000人以上のお客さまから、たくさんの「髪のお悩み」をお聞きしてきました。ひとつひとつのお悩みに応えるために、情報収集して対策を講じてきました。あなたのお悩みも聞かせてください。一緒に解決していきましょう。
Bさん
長年の美容師歴を通し、カットの技術には定評があります。お好み、ご要望をご遠慮なくお申しつけくださいませ。
Cさん
髪質に合わせてカットでのスタイリング造りが得意です。
お客さまの中には10年以上通ってくださる方もいらっしゃいます。
Dさん
長年の経験からカットが得意です。
安心してお任せください。
Eさん
私は長年の経験があり、特にカットが得意です。
安心してお任せください
Fさん
私は長年、美容師として、多くのお客様の髪をカットさせていただきました。
経験を積み、技術を磨き続けておりますので、どうぞ安心してお任せくださいませ。
Gさん
髪のベースとなるカットこそ、最も重要な技術だと考えています。
長年の経験を活かし、お客さまの髪質に合わせ、最適なヘアースタイルをご提案しますので、どうぞ安心してお任せください。
Hさん
ヘアカットでお悩みの方にも安心していただけるように、長年の経験を活かしたカウンセリングとカットを行います。
Iさん
長年、この仕事をしいますが、髪質やクセで困ってるお客様は多いんです。
だから、その方の髪質やクセに合わせたカットをするように心がけてきました。
この髪質とクセを活かした髪型にしていくこともできますよ。
お客様にお似合いのカットをしていきますね。
Jさん
髪型がきれいに長持ちするとカットだと、お客様に好評です。
当店には、何年も通ってくださるお客様が多くいらっしゃいます。
Kさん
長年の経験を活かして、 骨格補正や小顔効果のあるカット、トレンドのスタイルなど、あなたのご希望に合わせて提案いたします。
お気軽にご相談ください。
模範解答 野菜
悪文
うちは国産野菜を使っています。いいものを仕入れているので味には自信があります。
数字や仕組みではなく、「香り」「甘み」「子どもの反応」という感覚的な根拠で納得を促す書き方。
良文例
小さなお子さまが野菜を好きになってくれたらいいと思っていませんか？「ここの野菜だけは、うちの子も食べてくれるんです」という声をたくさんいただいています。朝採れの国産野菜は香りがよく、火を通すだけで自然な甘みが引き立つからです。
心の声を代弁する。説明ではなく、共感で信頼をつくる構成。
良文例
外食時「何が入っているかわからない」と不安になることはありませんか？
当店の野菜は、私たちが実際に畑を訪ね、状態を確かめた国産野菜だけを使っています。「生産者の顔が見える料理で、食卓の安心を味わえる」と、感想をいただきました。
模範解答 カット
悪文
私はカットが得意です。長年の経験があるので安心して任せてもらえます。
「技術」ではなく「朝の気分」という日常シーンを描写。安心感は、「任せてよかった」という別の顧客の声を使って表現します。
良文例
髪が広がる、まとまらない。そんなお悩みはありませんか？ドライだけで整うように、長年の経験からクセや髪質を見極めてカットしています。
10年以上前から通い続け「店長さんにまかせてよかったわ」と言ってくださるお客様は、朝、鏡の前で「今日もいい感じ！」と思えるそうです。
生活シーンで、どんな変化があるかを描写。再現性を技術力ではなく、イメージで伝えています。
良文例
忙しい日でも、手ぐしで整う。そんな無理をしないスタイルが、最近人気です。自分の髪が、毎日少し好きになる。そんな気持ちを味わえると、よく言われます。